2023.06.13
3営業活動時間を効率化する3つのポイント
目標達成に欠かせないのが、営業活動の効率化です。ただ単に営業活動時間や訪問量さえ増やせば目標達成できるわけではありません。効率的な営業量の増やし方というものがあります。その指標として「商談効率」「商談稼働率」と「営業生産性」の3つがあります。この3つの指標を管理するだけで営業効率が大きく向上します。
営業活動時間における組織上の問題点
商談時間の圧倒的な少なさ
営業「量」についても、営業に携わっている方ならばこれまでに言われ
続けてきたことだと思います。
訪問軒数や訪問頻度といった営業活動を数字で表したものです。これだけではなく、組織営業量の向上には、顧客接触時間比率というのも重要な営業「量」の指標です。
顧客接触時間比率というのは、営業の労働時間の中でお客様と接触している時間の比率です。
労働基準法的には月平均労働時間173時間という縛りがありますが、現実的にみなし残業も含めて月間200時間は営業活動をしているのが実態です。
弊社にはこれまでの200社以上の営業活動時間データがありますが、間違いなく200時間オーバーです。
仮に月間の営業活動時間が200時間だとします。
この200時間の活動時間の中で、お客様と接触している時間が60時間あったとします。
そうすると顧客接触時間比率は30%ということになります。
この30%という数字は、一般的に多い方でしょうか?少ない方でしょうか?
これも弊社の過去データから言いますと、トップレベルに近い多い方だということが言えます。
平均的に25%というのが現実のところです。
営業「量」と営業成績は、一般論として相関関係にあります。
つまり、営業「量」が多ければ売上が高いということです。
訪問軒数と営業成績は相関関係が成り立たないケースもあります。
それは営業「質」のところでお話ししますが、ただ訪問しているだけで中身にない営業活動も
訪問軒数にカウントされるケースがあるからです。
しかし、顧客接触時間比率という指標は、営業成績と相関関係にあるケースが大半です。
なぜならば、営業はお客様と接点を持たない限り営業成績にはつながらないという
BtoBビジネスの特性があるからです。
しかし、この重要な指標である顧客接触時間比率も詳細に分析する必要があります。
ある機械メーカーさんですが、顧客接触時間比率を計測したところ、28%程あり多い方にグルーピングされます。
しかし、この28%ある顧客接触時間比率を精査すると、納品立合いでほぼ半分の13.5%を費やしていて、
実際に営業活動が出来ていたのは14.5%とごく僅かであったという事例もあります。
一般的に移動時間比率は30%前後ありますが、北海道のような広大なエリアを担当している場合は
45%を超えているケースもあります。
このようなケースの場合は、顧客の分散状況を確認しながら、営業拠点の配置が適切かどうかを
検討する必要があります。
つまりこういったデータを収集することで、お客様との接点時間を増やすために
既存の営業活動の何を改善するのか明確にし、具体的に改善することに着手できます。
これは組織営業の活動「量」における重要ポイントです。
事例の機械メーカーさんの場合、営業は納品立合い時の冒頭にお客様に挨拶をするだけで、
実際の設置作業はサービスメンテナンス部隊が専門的に行うというルールを定め、
純然たる営業活動の時間を大幅に増加させ目標達成に結びつけています。
訪問軒数と売上目標達成の不平等
1日の訪問件数が2件のベテラン営業、一方7軒を訪問してくる若手営業。
これは営業活動が放置プレイになっている営業組織に見られる現象です。
ベテラン営業は、長年の勤続経緯から上顧客、つまりお付き合いさえしておけば注文が入ってくるような
大口のお客様を担当しているケースが非常に多いのです。ですから易々と売上目標を達成します。
一方、大口のお客様など担当させてもらえない若手営業は、とにかく既存顧客の深耕と、
新規顧客の開拓をしない限り、売上目標の達成などありません。
この担当割り当てや売上目標達成の差異が、訪問軒数の差異をもたらしているのです。
これは年功序列営業、運・不運営業としか言いようがありません。
当然のことながら、既存顧客の深耕営業に向いている担当者、新規開拓に向いている担当者など、
向き不向きもあり担当先を組んでいる会社もあろうかと思いますが、いずれにしろ営業活動量に
これほどの格差があっては、営業組織として統制が取れません。
しかも売上目標の達成度合いだけが評価軸になり、活動の中味に評価の目が向かない。
これでは若手営業のモチベーションは下がるばかりです。
訪問軒数ルールの設定方法
そこで、組織としての営業活動を活性化するためには、まずは月間の訪問軒数を営業組織の共通のルールとして
設定することです。
例えば1日の訪問軒数を6軒、月間の営業日数が23日だとすると
6軒×23日=138軒は全営業担当者が達成すべき営業「量」としてルール化します。
更に、この138軒の中で既存顧客に費やす軒数、新規顧客開拓に費やす軒数に区分します。
既存顧客の訪問先は、営業戦略の説明でお伝えした上流営業の「守る先」と既存顧客の格付けに応じた
訪問頻度を徹底して守ります。
既存顧客の格付けとは、既存顧客のABC分析と客内シェアのマトリクスで決定します。
ABC分析というのは、既存顧客の中で胃袋(購買規模・仕入規模)の多い順に一覧化し、
既存顧客全体の胃袋に占める構成比を算出して、その構成比を累積して
累積構成比が70%まで入る先をA、95%まで入る先をB、残りをCとする分析のことです。
客内シェアは、胃袋調査の結果によって基準を変動させますが、競合が3社以上の場合は、
50%以上の客内シェアがある場合を「1」、30%以上50%未満の場合を「2」、30%未満を「3」と表現します。
そうすると次のようなマトリクスが完成します。
このマトリクスから、左上のA1、B1、A2に属する既存顧客を「Aクラス」、斜めのC1、B2、A3に属する既存顧客を「Bクラス」、右下のB3、C2、C3に属する既存顧客を「Cクラス」と分類します。
「Aクラス」は、購買規模が大きく自社の客内シェアが高い顧客、「Bクラス」は、購買規模の大きさと客内シェアが反比例している先、「Cクラス」は、購買規模も客内シェアも共に低い先ということが言えます。
つまり、「Aクラス」が最重要先で、その次が「Bクラス」ということになりますから、
この重要度に応じてウェイト付けをして、訪問頻度を設定するということです。
新規顧客の訪問先は、営業戦略の説明でお伝えしたシェアアップ戦略の「新規開拓先ターゲットリスト」へのアプローチです。効率的にシェアを上げるのに有効なアプローチ先です。
それともうひとターゲット、これも営業戦略の説明でお伝えした上流営業の「攻める先」です。
ここまで訪問する先のターゲットと訪問ルールを具体化すれば、会社の方針、営業組織全体の方針を
現場活動に反映させることが出来ます。こういった状態で初めて「組織営業」が出来る組織となるのです。
ここまで営業組織としてのルール化をしませんと、営業担当者はどうしても“行きやすい先”、
“馬が合う先”ばかり訪問することになります。営業担当者の“行きやすい先”、“馬が合う先”が会社にとって重要な先であればいいのですが、これが合致しないというのが現実です。
営業は科学であり、偶発的な成果が望めないBtoBビジネスにおいては、営業「量」の設定が、
組織営業活動と目標達成においては重要です。
営業時間効率は商談稼働率で計る
顧客との接触時間や訪問軒数を営業組織として設定することの必要性はご理解ただけたと思います。
しかし、ただ単に顧客接触時間や、訪問軒数の絶対数を増やせばよいというわけではありません。
営業担当者は限られた労働時間の中で成果を求められます。ですから効率を求められます。
そこで必要な指標が商談稼働率です。これは、総労働時間の中に占める有効商談時間の割合です。
商談稼働率 = 有効商談時間 ÷ 総労働時間
先程の顧客接触時間を細分化したものです。
いくら顧客接触時間が多くても、機械の設置立合い時間は有効な商談時間としてはカウントされません。
純然たる商談に費やした時間が有効商談時間です。
これが、総労働時間の中でどれくらい占めているかという指標です。
商談稼働率を高めるためには
・労働時間の中に無駄な時間の使い方はないか
・本来営業がやるべき業務に時間が費やせているか
という点を組織としてチェックすることがポイントです。
売上効率は商談効率で計る
もう一つ重要な指標が商談効率です。
これは、どれだけの有効商談時間でどれだけの売上を達成したかを見る指標です。
商談効率 = 売上 ÷ 有効商談時間
ここから営業の「質」の情報を見ることが出来ます。
商談効率を高めるためには
・大型案件に時間を費やせているか
・一回の訪問が効率の良い(質の高い)営業活動が出来ているか
ということを確認します。
営業マンのセールス効率は営業生産性マップを作成すれば把握できる
以上の商談稼働率と商談効率を関連付けて、営業生産性をマッピングすることが出来ます。
営業生産性とは、費やした総労働時間でどれだけの売上を達成したかを見る指標です。
これは、次の算式にあるように商談効率と商談稼働率を掛け合わせて導き出せます。
つまり
商談稼働率:労働時間を有効に使い、有効な商談時間を増やしたか
商談効率:効率よく売上アップにつながる商談が出来ているか
という視点で営業担当者個々の営業活動を分析するツールになります。
商談稼働率が高ければ、売上につながる可能性が高くなります。
商談効率が高ければ、大型案件を短い時間でクロージングしたことになります。
商談稼働率、商談効率共に高ければ、効率よく売上を上げたということになります。
ですので、営業担当者ごとにこのマップにプロットしていけば、個々に何を改善すれば効率的な営業活動になるのかという指針になります。
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著者:岩月康隆 目標達成営業コンサルタント
有限会社アクチャーコンサルティング 代表取締役
BtoBビジネスにおける営業目標を恒常的に達成する『仕組み』構築の専門家。これまでコンサルティング指導先として約320社、受講後アンケートの結果次第では再登壇が困難と言われている企業研修講師・銀行シンクタンクのセミナー講師では、2005年以来連続で登壇するなど約1200件の指導実績がある。
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