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2023.06.06

0売上目標の正しい設定法と目標達成する営業行動計画の立て方

 岩月

営業の売上目標は、ただ設定して終わりではありません。その目標をどういった行動によって達成させるかという行動計画に連動させることがポイントです。営業の結果は経営を担っています。ここでは、売上目標設定の仕方と行動計画の連動について紹介します。

目標達成できる組織にするための営業変革には『組織の「仕組み」』と『組織教育』が必要です。

・「仕組み」とは: “こうすればこうなる”という営業の装置

・「組織教育」とは:この「仕組み」を使いこなす運用能力

これが「仕組み」と「組織教育」の意味です。

「仕組み」があれば、運用する人が変わっても組織は成長していけます。

しかし「仕組み」がなければ個人に依存せざるを得ないことになります。

ましてや人材の流動化が激しい現実があります。

まずは、営業の装置としてこの「仕組み」を設置することが営業組織としての最優先課題です。

 

目標達成できる組織にするために必要な「仕組み」は3つあります。

この『3つの仕組み』とは

・効率的営業活動の「仕組み」

・行動マネジメントの「仕組み」

・目標設定と自活営業の「仕組み」

この『3つの仕組み』を営業装置として、組織に設置することを目標に活動しましょう。

理解しやすいように、これらの『3つの仕組み』をシステムに分けてものが次の6つのです。

・効率的営業活動の「仕組み」

 →・営業活動設計 ・営業戦略策定

・行動マネジメントの「仕組み」

 →・部下育成/部下支援モデル ・先行情報管理

・目標設定と自活営業の「仕組み」

 →・労働生産性モデル ・KPI設定

このカテゴリーでは『目標設定と自活営業の「仕組み」』にある労働生産性モデルとKPI設定の

2つのシステムについてお伝えしていきます。

 

4月が期初の会社の場合は、年明け1月ごろから今期の目標達成度合いの予測と分析、

そしてそれをもとに来期の売上目標数字の設定作業に入るのではないでしょうか。
しかし、その数字目標は経営とリンクしているでしょうか?
行動計画とリンクしているでしょうか?

営業の売上目標は、会社の経営を担っています。

営業部門の営業利益は、会社の営業利益、経常利益を担っています。

つまり、営業の数字目標は売上だけではなく、営業部門の営業利益にまで明確でなければならない

ということです。ということは、営業部門が一定の営業利益を確保する数字目標が求められています。

営業部門を経営する感覚が必要ということです。

営業部門を経営しようと思いますと、経営知識、財務指標の意味と活用の仕方が必要です。

これは幹部の方だけではなく、営業担当者にも必要な知識です。なぜならば、営業上も必要だからです。

 

例えば自社が機械メーカーだとします。

販売している各機械の減価償却期間をご存知でしょうか?

そもそも減価償却の意味をご存知でしょうか?
営業は財務の専門家になる必要はありません。しかし、営業の立場で必要な財務知識があります。
売上目標の設定においても、この財務知識は必須であり、営業活動にも必須の知識です。

そして売上目標の設定で終わってはいけません。

その目標数字を達成するためにどういった活動を組織として行うのか、

そして個人としてその行動をいつ行うのかという目標達成のための行動プロセスを明確にし、

ガントチャートにまで落とし込みをして新年度を迎えるのが営業の目標設定です。

売上目標の設定において理解しておくべき必須の財務指標は

①労働生産性

 

②粗利率
③変動比率
④損益分岐点比率
⑤労働分配率
⑥限界利益
⑦成長寄与率
⑧営業利益
の8つです。

この経営情報を過去3か年の時系列で分析し、「魔法のテンプレート」というツールを活用して設定していきます。

決して前年対比8%アップなどという根拠を伴わない目標であってはなりません。

 

つい数十年前までは、前年実績に5%アップや8%アップといった売上目標が通用していいた時代も

あったのは確かです。その背景には経済成長がありました。GDP5%や8%アップなどという時代です。
この時代は市場経済自体が拡大していますから、前年対比に対するアップ率で売上目標を設定しても

目標達成できていました。市場の拡大が売上を後押ししてくれていた時代です。

 

しかし、現在はどうでしょうか?
少なくとも日本国内はゼロ成長、若しくはデフレ期(マイナス成長)に入っています。

市場が縮小している中で、市場拡大期と同じ手法による売上目標が通用するでしょうか?

アップ率に根拠を持たない売上目標で営業担当者のモチベーションが向上するでしょうか?

売上目標だけではなく、営業利益目標の達成までが営業部門の責任範囲です。

そして、その達成には効率性を求められます。

ですので、目標設定におけるキーとなる財務指標は“労働生産性”です。

 

労働生産性をはじめ、8つの指標を活用した具体的な目標の立て方は、

売上目標の正しい立て方と魔法のテンプレート記事 をご覧ください。

営業目標は部門を経営する感覚がポイント~営業利益責任の明確化~

先述の通り、営業の責任範囲は営業利益目標の達成です。営業部門が叩き出す営業利益です。

この目標の達成無しに会社の営業利益の目標達成はありません。

ですので、営業部門の責任は、営業部門を一つの企業と捉え、売上額のみならず、

粗利額、粗利率、変動費、固定費、そして営業利益額まで目標設定し、

その数字を管理していくことが必要になります。

 

営業として必要な財務知識を得たうえで、前出の「魔法のテンプレート」を活用すれば、

誰でもこのテンプレートの意味合いと算出方法、そして各指標の関連性が確認でき、

会社の目標数字が自分の目標数字に置き換わります。
・売上額 ・粗利額 ・粗利率 ・営業利益額 ・労働生産性
これを“営業5冠”と言って営業部門のモチベーションを高める指標として使用しています。
この達成が営業部門の成果です。

 

具体的な算式や算出方法は 売上目標の正しい立て方と魔法のテンプレート記事 をご覧ください。

なぜKPIの活用が組織行動に結びつくのか

KPIという言葉をご存知の方もいらっしゃると思います。日本語では“重要業績評価指標”と言われています。
これは、ビジネスの世界では目標達成するための要因を具体的数値に置き換えて活用されています。

 

例えば、売上目標を目の前にして、そのまま走らせるのではなく小さな要因に分解して、

その各要因を通過すべき数値に置き換えて、その通過すべき数値を確実に通過することで

売上目標を達成させようとするものです。

今の時代はカーナビゲーションというシステムがありますから、行先(目標)さえ入力すれば

ガイドして目的地まで誘導してくれますが、昔は国道〇号線を走り、△の交差点を右折して、、、

というように目的地までの経路ポイントを確実に通過することで目的地に到着出来ました。

この経路ポイントに当たるものがKPIです。

ここでは売上を ①顧客数 ②案件化率 ③決定率 ④顧客単価という4つの要因に分解したとします。


売上=顧客数×案件化率×決定率×顧客単価


となることはご理解いただけると思います。

つまり売上を達成するために、4つの要因の中でどれを重点化するのかという意思決定が必要です。

これが方針です。

 

仮に案件化率を重点化するとします。

案件化率とは、アプローチしている顧客の中で案件として顧客ニーズが発芽した割合です。
この案件化率を上げるということは、お客様の興味やニーズをどれだけ掘り起こせるかということが

キーになりますから、

・お客様に提供する情報のバリエーションを増やす

・提供情報の内容を改善する

といったことが考えられます。

 

一方、③決定率を重点化するとします。

決定率ということは、数多くの案件の中で提案を行い、受注した案件の割合です。

決定率=受注数÷提案数 となります。

つまり受注数を増やせば決定率は上がります。

現在の決定率が30%だとします。売上目標の達成には、決定率を40%にする必要があるとします。

10%アップが目標です。ということは提案力を上げなければいけません。

提案力を上げるには研修やOJTの実施というアクションプランが見えてきます。

 

つまり、大きな目標をそのままにしておくのではなく、KPIという達成要因に分解することで、

組織としての行動に結びつくということです。
そしてどの要因を重点化するのかというのは、組織の意思であり方針になるということです。

 

このKPIの具体的な活用方法については、

売上目標を達成する営業計画の立て方と営業マンの行動管理 をご覧ください。

営業計画の立て方と営業マンの行動管理 はコチラ

営業の現場活動が経営に及ぼす影響を理解する研修

研修は知識を習得する場であり、現場での経験不足分を補う場でもあります。
しかし、それだけでは不十分で、研修で学んだ内容を演習によって知識の整理を自身で行い、

演習による疑似体験によって即現場で活用できる状態まで仕上げることが研修のミッションです。

その為には、研修後に即実践できる体制を研修前から準備しておくことが求められます。
例えば、売上目標の設定研修ならば、

過去3か年の 

①労働生産性 

②粗利率 

③変動比率 

④損益分岐点比 

⑤労働分配率 

⑥限界利益 

⑦成長寄与率 

⑧営業利益

を営業部門全体、営業拠点ごとにデータ整理をしておくということです。

つまり、研修後のアクションを設定して研修を行うというスタンスが重要ということです。
これが一番効果のある研修であり、研修費用を早期に回収する方法であると思われます。

 

売上目標設定の前提となる、経営知識、財務知識を習得する営業数字の実践的活用研修があります。
この営業数字の実践的活用研修は、目標数字設定・実践研修への入り口となる利益構造を知る研修です。

売上総利益の意味や営業利益と経常利益の違い、更には資金繰りや原価と在庫の関係、

減価償却の意味といった知識に加え、流動比率を活用した与信限度額の算出方法や

実力のある販売商品の見極め方など、実務的知識のオンパレードの研修です。

 

先述の8つの指標を活用して具体的な目標数字を設定する研修が目標数字設定・実践研修です。
営業部門の売上、経費、営業利益目標まで設定し、そのためにはどんな組織活動が必要で、

その活動をいつ行うのかという行動計画まで作成する研修です。

 

詳しい内容は 目標設定研修|数字目標を具体的活動に変換させる営業KPIの活用 をご覧ください。

 

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著者:岩月康隆 目標達成営業コンサルタント
   有限会社アクチャーコンサルティング 代表取締役

BtoBビジネスにおける営業目標を恒常的に達成する『仕組み』構築の専門家。これまでコンサルティング指導先として約320社、受講後アンケートの結果次第では再登壇が困難と言われている企業研修講師・銀行シンクタンクのセミナー講師では、2005年以来連続で登壇するなど約1200件の指導実績がある。

 

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「来期は8%アップで」といった、どんぶり勘定の売上目標では、営業担当者のモチベーションはダウンしてしまいます。経営には売上だけではなく、利益確保も重要です。確実に営業利益を確保する目標設定のポイントを魔法のテンプレートを使用して解説します。

売上目標を立てて計画を終了してしまっては、何ら意味がありません。売上目標は活動計画に基づいた実践活動があって達成されます。目標達成のための営業担当者の活動が重要です。営業KPIの設定による目標を達成のための営業活動の具体化手法を紹介します。

営業担当者こそ、経営意識を持つべきです。営業の立場、営業の視点での財務知識研修を営業教育の一環としてとらえ、この知識を営業活動だけでなく、自社の、営業部門の、自部署の売上目標設定に活用して初めて、会社の目標が自身の目標に置き換わります。

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